おしゃべり授業は荒れの要因
あなたの授業は、「おしゃべり授業」に
なっていないでしょうか?
私が見たところ、現在の40代から50代の先生方の多くが、
この「おしゃべり授業」に陥っていると感じています。
なぜなら、彼ら自身がそうした「おしゃべり授業」を
受けて育ってきたから。
授業は教師が喋り続けるもの、
という固定観念が消えないのだと思います。
だからといって、「おしゃべり授業」を
野放しにしておいていいはずがありません。
なぜなら、「おしゃべり授業」は
学級の荒れを誘発するからです。
学校における滞在時間の約8割は、
授業に費やされます。
その授業がクソつまらなかったとしたら、
まともな神経の持ち主なら学校に嫌気がさします。
まして、ヤンチャな子供たちであれば、
ボイコットしたくなるのも無理はないでしょう。
もしかすると、あなたの学校、学級が荒れ始めているのは、
「おしゃべり授業」が蔓延っているからかもしれません。
逆に言えば、「おしゃべり授業」を改善していくことで、
荒れの要因を1つ除去したことにもつながるのです。
ここまで読んできて、「おしゃべり授業」を
どうにかしなければ死活問題だと
少し怖くなってきたかもしれません。
大丈夫です。
この後、きちんと改善策もお伝えしますので、
どうか安心して読み進めてください。
ところで、あなたはラーニング・ピラミッド
という言葉をご存知でしょうか。
学習定着率をパーセンテージの指標で表したものですが、
その中で講義の占める割合はどれくらいだったと思いますか。
何とたったの5%です。
ということは、「おしゃべり授業」で
ダラダラ教師の話を聞かされた子供たちは、
5%しか知識が定着しないということなのです。
つまり、「おしゃべり授業」というのは
「労多くして益少なし」の非効率的な指導法なのです。
ラーニング・ピラミッドによると、
ただの読書も10%の定着率しかないのだそうです。
しかし、学んだ内容を人と語り合ったり、
誰かに教えたりする活動を行うと、
一気に定着率が7割から9割まで上昇します。
そこで割り出されたインプットのアウトプットの
最適な比率は3:7です。
授業の中で教師が喋って良いのは全体の3割まで、
それ以外はアウトプットに費やすのが知識の定着には
最適効率をもたらすということです。
とはいえ、いきなり自分の授業を変えようとしても
イメージが湧かないのではないかと思います。
これについては、上手な人の話し方をひたすら聞いて
インストールする方法が有効的です。
最近は、YouTubeなどに上手な人の話が
たくさんアップされているので、
あなたが「こうなりたい」と思う理想の人を選んでもらって、
ひたすらその話に耳を傾けてみることをお勧めします。
ずっと理想の人の話し方を聴き続けていると、
ミラーリング効果によって、
口癖や間の取り方などが無意識のうちに似てくるように
なってきます。
「学ぶは真似ぶ」と言われるように、
完コピするつもりでひたすらその音声を流しっぱなしに
するくらいでちょうどいと思います。
話し方上達の一番の方法は録音を聞き返すこと
別の記事の中でも書きましたが、
話し方上達の一番の方法は自分の話を録音して聞き返すことです。
とはいえ、この方法は初めのうちかなりの
心理的抵抗を覚えるものです。
だから、ほとんどの人は話だけ聞いて
やろうとはしません。
でも、だからこそ絶好のチャンスなのです。
やった人だけが、周囲をごぼう抜きして
一人勝ちできるから。
意欲のある人はぜひ試してみてほしい方法です。
やり方はいたってシンプルで、
スマホのボイスメモ機能を使って
自分の話を録音するだけ。
あとは、それを淡々と聞き返すだけでいいのです。
私も最初の頃は自分の声を聞き返すのが辛かった。
でも、ふとあるとき思ったのです。
「自分が聞き苦しいと感じる話を
人様に聞かせていいのか」と。
少なくとも、自分が聞いていて
「楽しい」と感じるレベルまで磨き上げなければ
お金はもらうべきではないと思います。
私たちは生徒に授業をすることでお金をもらっているのですから、
話し方を磨き上げるのはプロとしての最低限のマナーではないでしょうか。
まず、取り組んでほしいのが「えー」「えーと」などの
間投詞を削ることです。
これは実に多くの人に、癖として見られます。
無意識の癖としての間投詞をなくすところが、
話し方改善の第一歩です。
私は1日の授業の中で、
1時間を選んで録音するようにしています。
それを帰りの車の中で聞き返すのを「1人研究授業」と呼んで、
その日の最後の業務として位置付けています。
こうした取組が授業力アップに効果があるのは間違いありませんが、
集会等で生徒や保護者の前でお話する機会をいただいたときに、
自分の話力がアップしたのを実感することがあります。
「間の取り方」「惹きつけ方」など、
有形無形の話し方のスキルが知らず知らずのうちに
磨かれていることに気づかされるのです。
理想のセルフイメージをイメージして行うのがコツ
一人研究授業はただ闇雲に行っても意味がありません。
「間投詞をなくす」など、毎回テーマを持って
取り組むことをお勧めします。
1つ1つテーマに向き合うことで、
ちょっとずつ前に進んでいる実感が得られます。
その微差が、後々大差となって返ってくるのです。
私があるとき自分に投げかけたのが、
「もしもこの授業が売り物だったらいくらの値をつけるだろうか」
ということです。
たとえば、予備校講師であれば、生徒さんから受講料をいただいて
お給料をいただいています。
公立学校の教師は、直接生徒から受講料こそいただきませんが、
授業への対価として税金からお給料を支払ってもらっているのです。
自分が生徒やその保護者だったら、
「こいつにいくらの値をつけるだろうか」と問いかけると、
思わず身の引き締まる思いがしたものです。
つまらない授業ばかりしていたら、
予備校講師ならクビ、予備校は赤字になってしまうのです。
「私の授業をネットで販売したら、売り物になるだろうか」
志ある方は、ぜひこうした問いをご自身に投げかけて
負荷をかけてみていただきたいと思います。
私は授業のない日曜日などでも、カフェなどでの友人との会話を、
許可をとって録音させてもらうことがあります。
「今日の話は面白かった」「話の構成が上手くないな」など、
自分の話を批評しながら聞くのが、いい意味で習慣化されているので、
今やほとんど趣味の1つになりつつあるところです。
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