息の吸いすぎは健康に悪い
私は若い頃から気管支が弱く、
少し体調を崩したり風邪をひいたりすると、
途端に激しい咳症状に悩まされていたものです。
体質的なものと半ば諦めていたのですが、
なんとかして克服できないものかと
呼吸法の鍛錬に励んできました。
ところが、鍛錬してきて
横隔膜がそれなりに下がるようになっても、
体質の変化はどうもはかばかしくないのです。
これでもかと、鍛錬に励んでみても
焼け石に水でいっこうに効き目がありません。
何が間違っているのだろうと、
途方にくれていました。
あるとき、ひょんなことから
一冊の本と出会います。
「トップアスリートが実践
人生が変わる最高の呼吸法」
という本です。
これまで何冊も呼吸法の本を読んできた私にとって、
さほど目新しいことは書いていないだろうと、
あまり期待をせずにページを繰っていたところ、
衝撃的な言葉が目に飛び込んできました。
「深呼吸が体にいいというのは間違い」
だというのです。
これまでの自分の呼吸法への取組を、
全否定されたような衝撃に
打ちのめされてしまいました。
その本にはこう書かれていました。
人は食べ過ぎ・飲み過ぎは戒めるが、
息の吸いすぎに気を止める人はいない、と。
そもそも、健康な人の酸素濃度は
普通に呼吸していても95%から99%に
保たれています。
その上、深呼吸で酸素を大量に取り込んでも、
余剰な酸素は活用されることなく
排出されてしまうのです。
それよりも呼吸で大事なのは、
酸素ではなく二酸化炭素だというのです。
二酸化炭素は酸素を体内に取り込む
窓のような働きをしているのですが、
深呼吸で二酸化炭素が体内に残っていないと、
酸素を十分に取り込むことができず、
疲労しやすくなったりするのです。
これを「酸素パラドックス」と
呼ぶのだそうです。
武士の呼吸に学ぶ
ところで、武術の世界で
呼吸が大事とされていることを
ご存知でしょうか。
人間は息を吸った瞬間に隙ができるので、
呼吸を敵に悟られないようにしなければならない、
と聞いたことがあります。
ある著名な空手家が著書の中で述べていたことですが、
武術家は立ち会いのときに息を止めるのだそうです。
理由は前述した通りで、
息をした瞬間に隙ができてしまうから
なのだそうです。
だから、立ち会いのときには
1分以上息を止めるのは当たり前なのだとか。
その方は、訓練法として透明な洗面器に水を浸し、
時計を見ながら呼吸停止の時間を延ばしていくと
述べていらっしゃいました。
前述した本を読んだ時に、
この空手家のエピソードと繋がったのを
覚えています。
それから、この本のエクササイズを
いくつか試しました。
詳しくは本書の内容に譲りますが、
「歩きながら息を止めるエクササイズ」
「自転車を漕ぎながらできるエクササイズ」
については、かれこれ3年近く継続中です。
また、私は水泳部で顧問を務めているのですが、
水泳にも「ハイポ」や「ノーブレス」という
トレーニングがあります。
できるだけ呼吸数を減らし、
二酸化炭素への耐性を高めて酸素を活用できる
能力を高めることを目的としており、
まさにこの本に書いてあることと共通します。
呼吸停止能力を競う、フリーダイビングの世界にも
ハードな閉息訓練法が存在します。
しかし、一般人にはかなりハードルが高いと思いますので、
興味がある方はまずは
「トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法」
の中で紹介されているエクササイズに取り組むことを
オススメします。
呼吸のメンタルにもたらす効果
呼吸法の改善は健康面において、
多大なメリットをもたらしますが、
メンタル面への影響も無視できません。
武術の世界でも呼吸が重視されているように、
強い精神力を要求される教育現場においても
呼吸の鍛錬は不可欠です。
メンタルトレーニングといえば、
丹田呼吸が広く知られていますが、
これもやり方次第だと思います。
私自身は、いわゆる丹田呼吸で
メンタルが強くなったという実感は
残念ながら得られませんでした。
では、呼吸法には効果がないかといえば
そんなことはありません。
正しく行えば、
これほど頼りになるものはありません。
今回ご紹介した息を止める呼吸エクササイズは、
どれもメンタル面にも著効があると信じています。
プレッシャーがかかる局面や、
強いストレスにさらされる場面で、
落ち着いて対処するためには、
普段から呼吸エクササイズに取り組み、
「ハラが据わる」感覚を自得しておく
必要があるのではないでしょうか。
日頃から疲れやすい、メンタル面を整えたい、
などの希望をお持ちの方は、呼吸エクササイズに
取り組まれることを心よりオススメします。

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