目標達成について

仕事

目標は紙に書けば実現する?

成功哲学近辺の世界では、
「目標を紙に書けば知らないうちに実現する」
と説く人がチラホラいます。

はたして、この考え方は正しいのでしょうか。

正直言って、目標は紙に書いたくらいで
実現するほど甘くありません。

もちろん、「目標を紙に書く」ことで目標が実現したり、
達成確率が高まったりする事例があることは否定しません。

しかし、こうした主張はともすれば
「目標を書きさえすれば叶う」
という安直なとらえをミスリードする危険性が
あるのではないでしょうか。

たとえば、アスリートが
「記録更新についての目標を紙に書く」だけで、
記録を更新できるでしょうか。

あるいは、受験生が「志望校を紙に書く」だけで、
入学通知を手にすることができるでしょうか。

このように、リアルな場面に置き換えて考えてみると、
子どもでも「おかしい」と感じることが、
まことしやかに囁かれていたりするから、
一般社会から「自己啓発の世界は怪しい」
などと批判を受けてしまうのです。

断っておきますが、「目標を紙に書く」という行為自体は、
何もおかしくはありません。

むしろ、「目標を紙に書く」ことから、
現実が一步前に進み始めると断言しても
差し支えないのです。

ただし、「目標を紙に書く」だけでは、
まだ「小さな一步」しか踏み出せていません。

目標を実現化させるために必要なプロセスについて、
以下に述べたいと思います。

目標の明確化

目標達成の確率を上げるには、そ
の目標にどこまで近づけたかを測るための
明確な指標が必要です。

そのための方法が「数値化」です。

こう述べると、「自分の掲げている目標は数字とは関係ない」
と反発してくる人がいますが、
それでは「絵に描いた餅」と同然で、
目標達成への推進力が出てきません。

たとえば、「自分は野球が上手くなりたい」
と考える男の子がいたとします。

今のままでは、彼の野球が上手くなることは
ほぼ期待できません。

なぜなら、「いつまでに」「何を」「どのように」
上手くなりたいのかが不明確だからです。

野球には「守備」「打撃」「走塁」と、
様々なファクターがあります。

どの分野を強化したいのかを決めた上で、
「打率を何割にしたいのか」「どこのポジションを守りたいのか」
「球速を何キロにしたいのか」など、
自分の望みを明確にしていかないといけないのです。

こうしたことを明確にしないで、
ただ「野球が上手くなりたい」と願っても、
元々の運動神経がよほど抜群でない限り、
技量の向上はほぼ見込めないということになります。

さて、この話は決して他人事ではありません。

たとえば、結婚適齢期の若者が
「結婚したいんだけど、誰かいい人いませんか?」
と周りの年配者に相談して回っているとします。

「誰かいい人って、どんな人が好みなの?」と尋ねると、
「頼りがいがあって、ちゃんとした人がいいです」
といった曖昧な返事が返ってくるのが関の山です。

もしかすると、自分でも「好みのタイプ」というのが
分かっていないのかもしれませんね。

この人が、結婚相手を見つけるためにやるべきことは、
自己分析です。

「自分の理想の休日の過ごし方」、「理想の家庭生活」、
「結婚相手に求める条件」、「理想の食生活」、「人間関係」、
「交際の仕方」など、多岐にわたってリストアップし、
「自分とは何ぞや」という問いにきちんと向き合うことです。

その中から、期せずして「理想の結婚相手」が
見えてくるのです。

こういう地道な作業もせずに、「俳優(女優)の○○さんに似た人がいい」
とか言っているから、何年もしないうちに離婚することに
なってしまうのではないでしょうか。

目標の細分化

明確な目標が決まったら、次にやるべきは
期日を入れることです。

期日を入れない目標は、額に入れて飾ってある
「お題目」と一緒です。

「やってもやらなくてもどっちでもいい」という
フンワリした目標なら、誰が本気で取り組むでしょうか。

「いついつまでに達成する」と期日を入れて、
「予定」に変えるからこそ「強制力」が生じて
実現へと進み始めるのです。

さて、あなたが「目標に期日も入れた」とします。

これだけでは、まだ目標が実現するかどうかは五分五分です。

なぜなら、世の中には借金を踏み倒して逃げる人がいるように、
あなたが目標から逃げ出してしまわないとも限らないからです。

あなたの首根っこをつかまえて、
目標までの道のりを確実に歩かせるためには、
期日までの行動目標の細分化をしなければなりません。

たとえば、「半年後に体重を65キロにする」というのが
目標だとします。

現状の自分の体重が75キロだとすると、
「半年間で10キロ落とす」のが行動目標
ということになります。

まずやるべきは「月間目標」を決めることです。

10キロを6で割ると、だいたい1ヶ月に1.5キロ
痩せればいいということになります。

次にやるべきは「週間目標」を決めることです。

1ヶ月を4週間と考えると、1.5キロを4で割った
400グラム痩せるのが1週間の目標ということになります。

あとは「デイリー目標」の設定です。
1週間に400グラム痩せるために何をしなければならないかを考え、
淡々と実行します。

もちろん、ダイエット期間の中には「チートデー」が入っていたり、
会食で食べ過ぎたりすることもあると思うので、
数値目標には少しゆとりを持って考えておいた方が
精神衛生上好ましいかもしれません。

このようにして、目標を日々の行動レベルまで
細分化するからこそ、目標の実現確率が
最高に上がるのです。

あとは、1週間ごとや1ヶ月ごとに目標の進捗状況を確認して、
目標の修正を図っていくのも大事なことです。

巷で言われる「引き寄せの法則」というのも、
結局はこうした地味な行動の積み重ねが根底にあるのです。

目標は3段階で立てよ

目標のプロの中には、「目標を3段階で立てる」ことを
主張する人がいます。

自分の最高のパフォーマンスを発揮して、
さらに運の後押しがあれば達成できるのが「最高目標」。

自分の現状の実力から考えて、
挑戦してもいいと思えるレベルが「中間目標」。

最悪のコンディションで、
運に恵まれなかったとしても達成できる「最低目標」。

そもそも目標を立てる意義は、
「自信の構築」「自己肯定感を上げること」にあります。

しかし、目標達成に失敗すると、
少なからず自己肯定感が下がってしまうことは否めません。

そうならないための保険として最低目標を立てるのだそうです。

なるほど、確かに納得です。

目標は何度も見返して確認する

「目標を紙に書けば実現する」という考え方を、
今回かなりディスってきましたが、
決して意味のない行動だとは思いません。

それどころか、あることを行いさえすれば
かなり有効な手立てになり得ることを
最後に述べておきたいと思います。

それが、「目標を何度も見返す」という習慣です。

「なんだ、そんな簡単なことか」と思われたそこのあなた、
毎日欠かさず目標を見返すのは、
それはそれで大変なことなのですよ。

なぜなら、ついうっかり忘れたり、
面倒臭くなってやらなくなったりする人が
大多数だからです。

「目標を何度も見返す」という
一見何の変哲もない行動を継続できる人は、
それだけで少数派と言えるのです。

さて、「目標を何度も見返す」という行動に
どんな効果があるのでしょうか。

目標を見返していくうちに、
行動のモチベーションがわいてきたり、
思わぬヒントが降りてきたりと、
内面の変化が期待できるのです。

だから、昔から成功者は「目標を何度も見返せ」と
口を酸っぱくして言い続けてきたのですね。

結論として、「目標は紙に書いただけでは実現しない」けれど、
「書いた目標を何度も見返せば、実現確率は飛躍的に高まる」
ということです。

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