授業力が生徒指導のキモ

仕事

脱おしゃべり授業

おしゃべり授業とは、教師の話と生徒の活動の比率が
だいたい「9:1」から「8:2」で構成されている
授業のことです。

文科省が「主体的・対話的な学び」の推進を打ち出し、
私たち教師も生徒のアウトプットを主体とする
授業の重要性は理解できているつもりですが、
実際はほとんどがこの「おしゃべり授業」に
とどまっているのが現状です。

それも、若手ばかりではなく結構なベテランでも
「おしゃべり授業」になってしまっているのです。

自分のクラスが静かに鉛筆を動かしているとき、
隣のクラスからは教師が話す声が延々聞こえてきたりします。

「おしゃべり授業でいったい何がいけないんだ」
と思われる方もあるかもしれません。

では、想像してみてください。

今あなたが教育委員会主催の、
堅苦しくどちらかと言えばあまり面白くない
研修に来ているとします。

その講師がまじめくさった表情で、
延々と話し続けていてあなたはプレゼンの画面を
ボーッと眺めているだけだとします。

いかがでしょうか。

「早く終わってくれ」「眠い」「つまらん」と、
不満のオンパレードが心の内で渦巻くのではないでしょうか。

こうした授業を、子ども達は強制的に
受けさせられているのです。

当然、子ども達の心の内には教師に対する
反発心が渦巻くことになります。

これが生徒指導的に「かなりヤバい状態」
であることは、言うまでもないことです。

こんな授業をする教師のことを、
生徒が好きになることもなければ、
尊敬の念を抱くことなど毛頭ありません。

「荒れる学級」「荒れる学校」というのは、
このようにして形成されていくのです。

逆に言えば、「荒れる学級」「荒れる学校」
を建て直すには、まず授業改善ありきなのです。

なぜなら、学校生活の6割以上は授業に費やされており、
授業への不満はそのまま学校生活への不満に直結するからです。

こう言われると、
「まあ、自分はそこまで『おしゃべり授業』はしていないかな」
とほとんどの人が思いがちです。

それもそのはず、人は自分に対しては
潜在的に甘い点を付けてしまうものだからです。

だから、自分の授業を採点しようと思ったら、
何の根拠もない「主観」に頼るのではなく、
「客観」の物差しで測るべきなのです。

自分の授業を録音する

そこでオススメなのが、自分の授業を録音して
聞き返してみることです。

方法はいたってシンプルで、
ご自分のスマホのボイスメモ機能を使って
録音してしまうことです。

純正アプリ以外にも、様々なボイスメモアプリが
出回っていますので、気に入ったものを
お使いになればいいと思います。

さて、私は初めて自分の授業を聞き返したとき、
あまりの下手くそぶりにびっくり仰天したのを覚えています。

声は通らない、発音は不明瞭、語尾はハッキリしない、
説明もくどい、「えー」などの間投詞が頻繁に出てくる、
など本当にダメダメでした。

だから、授業音声の再生ボタンを押すのが
恐怖で仕方なかったのです。

でも、これって非常におかしな話ですよね。

本人が聞くに堪えない授業を、
お客である生徒たちに聞かせて
給料をもらっているのです。

「これじゃまったくの給料泥棒で、プロ失格だ」
と自分を責めたのを覚えています。

その後、たくさんの「話し方」についての書籍を読んでいると、
異口同音に「話の上達の秘訣は、自分の話を
録音・録画して聞き返すこと」
と出てくるのです。

「だったらもうやるしかない」と腹をくくりました。

そこで「1週間に1度」授業を録音して
聞き返すことに取り組み始めました。

当然、自分の授業のアラばかりが目に付きます。

ところが、苦痛に耐えながら続けていると、
徐々に自分の授業を聞くのが楽しくなってきたのです。

そのうち、生徒の授業に臨む姿勢も変わってきました。

終業のチャイムが鳴ったときに、
「えっ、もう授業終わったの」という声も
聞こえるようになってきたのです。

もちろん、その陰には教材研究を充実させて
臨んだこともあるのでしょうが、
この「録音修行」による成果もかなり大きいのでは
と密かに思っています。

ところが、そのうち少し慢心が出てきて
「録音修行」を怠るようになりました。

年度が替わり、新入生の授業をしていて
食いつきの悪さを感じたので、
久々に授業を聞き返してみると、
ヘタになっているのを感じました。

そこで、「この修行は定期的に続けなければダメなのだ」
と覚悟を新たにしました。

現在はというと、毎日自分の授業を録音し、
帰宅途中にある公園をウォーキングしながら
自分の授業を振り返るのが日課となっています。

当然ながら、「1週間に1度」授業の録音をしていた頃とは
比較にならないほど、様々な気づきを得られています。

現在はこの「録音修行」のことを「1人研究授業」と命名し、
今年度中に100本を達成することを目標に取り組んでいます。

あれほど苦痛を感じながら取り組んでいたのがウソのように、
今ではこの「録音修行」が私の趣味の1つになってしまいました。

セルフイメージを書き換える効果

ところで、この「録音修行」には、
授業力アップだけにはとどまらない効果があります。

まず日々の話し方が変わります。

というのも、この「録音修行」は
プロの話者も取り入れる
本格的なトレーニングです。

何もしていない一般人とは、比較にならないほど
実力が付くのも当然です。

普通に雑談をしていても、話の組み立てから
発音の明瞭さに至るまで、レベルが変わってきたのを
感じるはずです。

それだけではありません。

実はこの「録音修行」には、セルフイメージを
書き換える不思議な効果も備わっているのです。

たとえば、録音音声を聴いていて「自信のなさ」や
「説得力のなさ」を感じたとします。

そこで次に授業するときに、
「もっと自信に溢れた話し方をしよう」とか
「もっと説得力をもって伝わるようにしよう」
と心がけるとします。

授業後、録音音声を聞き返して「できたこと」と
「できなかったこと」を仕分けして、
また翌日に実践を重ねます。

こうしたトライ&エラーの積み重ねによって、
知らず知らずのうちに理想とする
「セルフイメージ」が
形作られていくのです。

授業の改善をしていただけなのに、
いつの間にか「生徒指導力」や「対人関係能力」まで
磨かれていたということもあり得るのです。

私はそのことを実感してから、
この「録音修行」の魅力にすっかり取り憑かれてしまい、
生涯の友にしようと考えているところです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました